新国立劇場《運命の力》稽古場レポート

 4月2日(木)に新国立劇場で開幕するヴェルディのオペラ《運命の力》。リハーサル室での立ち稽古を経て、昨日から舞台での稽古が始まりました。
 こちらでは、第2幕第2場の稽古の様子をご紹介します。

※メイク、衣裳、照明その他、本番とは異なります。ご了承ください
(2015年3月25日オペラパレス  撮影:M.Terashi/TokyoMDE)

スペインの侯爵令嬢レオノーラが恋人ドン・アルヴァーロと駆け落ちしようとしたところを父・カラトラーヴァ侯爵に見つかる。アルヴァーロが無抵抗を示すために拳銃を投げ出したところ、それが暴発。カラトラーヴァ侯爵は息絶える。レオノーラの兄ドン・カルロは父・カラトラーヴァ侯爵を殺した二人に復讐する・・・

 非情な運命に翻弄された3人の男女の悲劇を描いた、ヴェルディ中期の傑作オペラ《運命の力》は序曲も有名で、演奏会でも単独で演奏されることの多い作品です。

 新国立劇場では2007年以来8年ぶりの上演。スペイン出身の演出家エミリオ・サージは、作品の持つメッセージが現代にも理解しやすいように、時代設定を原作より現代に近い、1930年代、スペイン市民戦争の頃に設定しています。

舞台セットは、赤を基調にしたもので、紗幕が幾重にもレイヤーとして重ねられています。

その紗幕、よく見るとただの幕ではなく、まるで「たたみいわし」のように織られたもの。そして幕には、夥しい数の歴代のスペインの王や貴族の名前が書かれています。

第2幕第2場では、父を殺してしまい逃げる途中でアルヴァーロとはぐれてしまったレオノーラが修道院にたどり着き、そこでグァルディアーノ神父に真実をうちあけ、修道院裏の洞窟のなかで世捨て人として生きる道を選びます・・・

稽古が始まりました!
舞台上ではまず立ち位置などの確認。
左から)松位 浩(グァルディアーノ神父)、イアーノ・タマー(レオノーラ)、根岸幸(演出助手)

【第2幕第2場から】
レオノーラ役のイアーノ・タマーは、新国立劇場では2009年《トスカ》でドラマティックな歌声を披露。
グァルディアーノ神父役の松位浩は、1996年よりザールラント州立劇場ザールブリュッケン首席バス歌手。2002年ザルツブルク祝祭劇場《トリスタンとイゾルデ》マルケ王で国内外から高い評価を得ました。
舞台稽古はこのように、通常オケピットの部分にピアノが入り、音楽コーチやスタッフが見守るなか行われています。


指揮のホセ・ルイス・ゴメスはベネズエラ生まれのスペイン人。2010年ゲオルグ・ショルティ国際指揮者コンクール(フランクフルト)第一位。現在、コモ歌劇場管弦楽団首席指揮者。新国立劇場初登場。

グァルディアーノ神父、修道士たちの合唱に伴われレオノーラが美しいアリア「天使の中の聖処女よ」を歌います。この作品のなかでも最も感動的な場面のひとつです。

■新国立劇場2014/2015シーズン
La Forza del Destino/Giuseppe Verdi
全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉
2015年4月2日(木)18:30、5日(日)14:00、8日(水)18:30、11日(土)14:00 、14日(火)14:00 オペラパレス

【指揮】ホセ・ルイス・ゴメス
【演出】エミリオ・サージ

【レオノーラ】イアーノ・タマー
【ドン・アルヴァーロ】ゾラン・トドロヴィッチ
【ドン・カルロ】マルコ・ディ・フェリーチェ
【プレツィオジッラ】ケテワン・ケモクリーゼ
【グァルディアーノ神父】松位浩
【フラ・メリトーネ】マルコ・カマストラ
【カラトラーヴァ侯爵】久保田真澄
【マストロ・トラブーコ】松浦健

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

S21,600円 A16,200円 B10,800円 C6,480円 D3,240円
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999

新国立劇場 http://www.nntt.jac.go.jp/opera/

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