ショパンの新たなる名盤の誕生だ。聴き慣れたはずの作品が、これほどまでに鮮烈に説得力を持って届けられるとは。日本デビュー20周年を迎えた福間洸太朗の20枚目のアルバムだ。「もっとも好きな作曲家」ショパンという、ある種の原点に立ち返り、バラード第1番、英雄ポロネーズ、葬送ソナタ、幻想ポロネーズを核に選曲したトータル86分超えの豊潤な1枚。ショパンの苛烈さ、忸怩たる思い、痛切な憧憬を、大きな音楽的うねりと隅々まで行き届いた色彩変化によって描き出す。ぜひとも1曲1曲、丁寧に聴きたい。ショパンとの関わりから20年の歩みを振り返る日本限定の特典冊子も貴重。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2024年10月号より)
【information】
CD『ショパンの想い出/福間洸太朗』
ショパン:ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」、バラード第1番、ノクターン第2番、同第20番、ポロネーズ第6番「英雄」、同第7番「幻想」、幻想曲、ピアノ・ソナタ第2番「葬送」
福間洸太朗(ピアノ)
ナクソス・ジャパン
NYCC-27315 ¥2970(税込)