マックス・ポンマー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

花開くバッハへの愛と美学

マックス・ポンマー
マックス・ポンマー
 素材の旨さを生かして本質的な味を追求する料理人のよう。そうした最高級の評価を与える聴き手もいるほど日本の音楽シーンでも注目を集めているのが、ドイツのライプツィヒに生まれた79歳のベテラン指揮者、マックス・ポンマーだ。近年に注目された指揮者の中では、チェコ出身のラドミル・エリシュカ同様に「こんなマエストロがいたのか」と驚きをもって迎えられ、その評判は口コミやインターネットで広がってきた。この4月からは札幌交響楽団の首席指揮者に就任し、日本との結びつきが深まるマエストロである。
 そのポンマーが新日本フィルの定期演奏会に初登場。取り上げるのは故郷ライプツィヒゆかりの作曲家であるJ.S.バッハの「管弦楽組曲」全4曲だ。20世紀の後半より、小編成の室内アンサンブルもしくは時代楽器オーケストラのフィールドへと引っ越ししてしまった感があるこの作品。オーケストラの定期演奏会で、しかも全4曲が演奏されることは本当に珍しい。ポンマーが醸成してきたバッハへの愛と美学、そしてドイツの伝統を継承する音楽が、新日本フィルと共にどう花開くのか。これはもう時代の証言を体験するような、価値あるコンサートになるのかもしれない。第2番におけるフルート・ソロを演奏するのは首席奏者の白尾彰。単独で頻繁に演奏される「アリア」(エア/通称「G線上のアリア」)が、第3番の中の1曲となってどう聞こえるのかも興味深い。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年4月号から)

#538定期演奏会 
3/27(金)19:15、3/28(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
http://www.njp.or.jp

第90回 多摩定期 
3/29(日)15:00 パルテノン多摩
問:チケットパルテノン042-376-8181 
http://www.parthenon.or.jp