佐渡 裕(指揮) シエナ・ウインド・オーケストラ 「ブラスの祭典2024」

吹奏楽の2大物語を名コンビの演奏で堪能

佐渡 裕 ©Takashi Iijima

 広島県北部の三次市市制施行20周年・三次市民ホール開館10周年記念として、佐渡裕指揮シエナ・ウインド・オーケストラの公演が開催される。生気と躍動感溢れる世界的マエストロ・佐渡の指揮、高機能で華麗かつ軽妙なシエナのサウンドを存分に堪能できる上に、佐渡がトークと音楽で魅せる「音楽のおもちゃ箱」、聴衆も楽器を持ち込んで演奏に参加できるアンコール「星条旗よ永遠なれ」といった名物企画も楽しい同公演。

 特に注目されるのは、A.リードの「オセロ」とデ・メイの「指輪物語」が並ぶプログラムだ。前者はシェイクスピアの有名な悲劇、後者はトールキンの長編冒険ファンタジーを音で描いた作品。これら文学に基づく吹奏楽屈指の名作をまとめて味わえる喜びは大きい。なかでも「指輪物語」は全5楽章・40分を超える聴き応え満点の大交響曲だが、シエナは、作曲者デ・メイ本人の指揮で演奏し、録音も行った実績がある点で、他と一線を画している。すなわちこの記念碑的名曲を熟知した演奏で体感する貴重な機会だ。そしてもちろん、吹奏楽の枠を超えたパフォーマンスで大人気のコンビの演奏に当地で触れることのできるこのチャンスを、逃すことはできない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年9月号より)

2024.11/9(土)14:00 広島/三次市民ホールきりり
問:三次市民ホールきりり0824-62-2222
https://www.kiriri.org