ドリーマーズ・サーカス

北欧の伝統音楽×クラシックが織りなす新感覚のサウンド

©Søren Lynggaard Andersen

 クラシックの室内楽の世界では実力ある次世代アンサンブルが次々登場しているが、北欧伝統音楽シーンでひときわ熱い注目を集めているのがデンマークのドリーマーズ・サーカス。スタジオジブリの宮﨑駿や、ゲーム音楽で知られる作曲家の光田康典など、日本のクリエイターからも愛される彼らが、10月に全国6ヵ所で来日公演を行なう。

 ドリーマーズ・サーカスが若くして「最高峰」と言われる理由は、それぞれが超一流のミュージシャンである3人からなるアンサンブルの強度と創造性にある。ヴァイオリンのルネ・トンスゴー・ソレンセンは、コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務め(現在は退団)、デンマーク弦楽四重奏団の1stヴァイオリンとしても活躍するヴィルトゥオーゾ。シターンなどの撥弦楽器でバンドのリズムを支えるアレ・カーはフィドルの演奏にも優れ、スウェーデンが公式に熟練した伝統音楽家に与える称号「リクスペルマン」を18歳で与えられた逸材。そしてピアノとアコーディオンでアンサンブルをまとめ上げるニコライ・ブスクは、作編曲家やジャズ・ミュージシャンとしても引っ張りだこの存在だ。

 デンマークが生んだ大作曲家ニールセンを敬愛し、クラシックに裏打ちされた技術で伝統音楽にアプローチする彼らの音楽は、知的にソフィスティケイトされていながらも心に触れるあたたかみがある。「ドリーマーズ・サーカス」という名のとおり、聴き手のイマジネーションをどこまでも広げてくれることだろう。
文:原 典子
(ぶらあぼ2024年9月号より)

2024.10/25(金)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
問:プランクトン03-6273-9307
https://plankton.co.jp

他公演
2024.10/19(土) 船橋市民文化創造館(きららホール)(047-423-7261)
10/20(日) ハーモニーホールふくい(小)(0776-38-8282)
10/23(水) 王子ホール(03-3567-9990)
10/24(木) 山形県郷土館 文翔館 議場ホール(023-635-5500)
10/26(土) 所沢市民文化センターミューズ マーキーホール(04-2998-7777)