楽壇を支えてきた重鎮による熟成の音色を味わう
高崎芸術劇場の芸術監督・大友直人がプロデュースする演奏会シリーズ「T-Masters」は、日本を代表する演奏家を招いてその音楽を存分に堪能してもらおうというもの。その第8回が9月13日に開催される。出演するのは、東京交響楽団、そしてNHK交響楽団のコンサートマスターとして一時代を築いたヴァイオリニストの徳永二男だ。ソリスト、室内楽奏者としてだけでなく、近年は指揮者としても積極的に活動を行う。また、教育者としての優れた資質も、彼を語る際には避けて通ることはできない。今、日本の楽壇に徳永の薫陶を受けた演奏家がどのくらいいるのか、正確な数はわからないが、現在の日本クラシック界において層の厚さの一翼を担っていることは間違いない。まさに、“日本が誇るべき”ヴァイオリニストである。
そんな徳永が今回の演奏会のプログラムに選んだのは、フランクのヴァイオリン・ソナタ、サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」など、よく知られたヴァイオリンの名曲ばかり。生涯で幾度となく演奏してきたであろうこれらの作品に対する徳永の理解が群を抜いていることは言うまでもないだろう。ピアノは、彼がこれまで音楽監督を務めてきた宮崎国際音楽祭でも共演を重ねてきた坂野伊都子。豊かな響きに定評のある高崎芸術劇場音楽ホールで、巨匠が奏でる珠玉の名曲の数々にひたる。実に贅沢な午後のひとときではないだろうか。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2024年8月号より)
2024.9/13(金)15:00 高崎芸術劇場 音楽ホール
問:高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900
https://www.takasaki-foundation.or.jp/theatre/