福田進一とウルグアイ出身のE.フェルナンデスは、デュオを組んで約30年。本盤はウィーンゆかりの作品を集めたもの。シューベルトの若書きの弦楽四重奏曲からの編曲は、不穏な始まりで、それでも歌に溢れている。展開部の転調やひそやかな佇まいも特徴的だ。終楽章の舞曲では、素朴な踊りが果てしなく続く。一体何処に行き着くのか。ハイドンからの編曲も面白い。冒頭は対話が楽しい豊かな音楽だ。その中に意外に切実な響きも潜む。終曲はフーガ風のポリフォニーが2本のギターで存分に味わえる。ジュリアーニの協奏風変奏曲は、福田らのスピード感ある切れ味と華麗な響きが耳の愉悦となる。
文:横原千史
(ぶらあぼ2024年8月号より)
【information】
CD『デュオ〜ウィーン・プログラムへの誘い〜 /福田進一&E.フェルナンデス』
シューベルト(J.ブリーム編):デュオ イ短調(原曲:弦楽四重奏曲第9番)/ジュリアーニ:3つの協奏風ポロネーズ、協奏風変奏曲/ハイドン(E.フェルナンデス編):デュオ ホ短調(原曲:弦楽四重奏曲第43番)
福田進一
エドゥアルド・フェルナンデス
(以上ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4531 ¥3520(税込)