童話を超えた至高のファンタジー
いつの時代にも女性の心をつかむ『シンデレラ』の物語。粗末な服をまとい、継母や義理の姉たちにこき使われる彼女が、魔法で美しく変身し、豪華な城で王子に出会うという展開は、視覚に訴えかけるバレエにぴったりだ。Kバレエ カンパニーの熊川哲也版は、ヨランダ・ソナベンドの繊細な衣裳とレズリー・トラヴァースによる優美な装置が、開幕と同時に観客を魅了する。ティーカップやトンボの精の踊り、舞踏会での華麗な群舞など見どころは多いが、特筆すべきはシンデレラの心と完璧にシンクロする名場面の数々。
1幕の最後、馬車を降りたシンデレラがケープをなびかせて城に向かう場面はため息ものの美しさで、熊川の卓越した演出のセンスに唸らされること必至だ。ヒロイン役に神戸里奈、白石あゆ美、佐々部佳代の他、2014年度ジャクソン国際バレエ・コンクール シニア部門金賞の加瀬栞が参加するのも話題。新たな魅力に期待したい。
文:新藤弘子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)
3/18(水)〜3/22(日) Bunkamuraオーチャードホール
問:チケットスペース03-3234-9999
http://www.k-ballet.co.jp/company