東京オペラシティ B→C 170 佐藤淳一(サクソフォン)

サクソフォンの魅力をトータルに引き出す

©Shigeto Imura
©Shigeto Imura
 頼もしい若手が現れた。クラシックにおけるサクソフォンはまだまだ未開拓の領野を残しているが、佐藤淳一はこのフロンティアに大胆に挑んでいる。演奏はもちろんのこと、ベリオに焦点を当てたリサイタル・シリーズの企画や、それと平行した論文で東京芸大の博士号も取得。教育・執筆などの啓蒙活動も行い、まさに楽器の魅力をトータルに引き出すことに尽力しているのだ。
 東京オペラシティ『B→C』シリーズでも、佐藤はサクソフォンの多面性を映したプログラムを提示している。前半はバッハ(チェロ組曲第2番)、ブラームス(クラリネット・ソナタ第2番)といった古典の編曲ものに、サクソフォンがサウンドトラック(エレクトロニクス:有馬純寿)と絡むアヴァン・ポップの作曲家フェルドハウスの「ザ・ガーデン・オブ・ラブ」を挟む。後半はブリテン(オウィディウスによる6つの変容)、ベリオ(セクエンツァⅦb)、そして佐藤が日本初演したブーレーズ「二重の影の対話」サクソフォン版と近現代の大家が並ぶ。ソプラノ、アルト、バリトンと3種類のサクソフォンを持ち変える、凝縮されたリサイタルになりそうだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/17(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 
http://www.operacity.jp