津田ホール 春の宴

“音の記憶”をしっかりと刻みたい

 閉館の知らせを惜しむ声も相次ぐなか、運営する大学の経営判断により今年3月いっぱいで27年の歴史に幕を閉じる津田ホール。良質な音響を生かした多彩な企画を取り上げてきたホール主催公演のラストとなるのが、横笛の福原徹を中心とする異色のコンサートだ(貸しホール営業は3月末まで)。2001年に津田ホールで開いた初リサイタルでいきなり芸術祭大賞を受賞するなど、彼もまたこのホールとゆかりの深い奏者の一人。10年以上にわたって彼とコラボレーションを重ねている盟友の作曲家・中川俊郎や、善養寺惠介(尺八)、七代目福原百之助(囃子方)、福原百貴、福原邑佳(さとか)(笛)らの邦楽奏者たちが集い、邦楽の古典曲から現代音楽まで、その両者のクロスオーバーや、さらに客席からお題を募っての即興演奏もあるボーダーレスな春の宴。邦楽ファンはもちろん、現代音楽ファンやジャズ・ファンまで広く楽しめそうだ。消えゆく響きをしっかりと耳に焼き付けたい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/13(金)19:00 津田ホール
問:津田ホールチケットセンター03-5355-1299 
http://tsudahall.com