いよいよ大作《パルジファル》に挑む
ジョナサン・ノットのもと、快進撃を続ける東京交響楽団。いよいよこの3月にはワーグナーの舞台神聖祝典劇《パルジファル》(抜粋)に挑む。ノット新音楽監督の最初のシーズンの締めくくりにふさわしい、特別な作品が取りあげられることになる。
もっともノットは東京交響楽団の音楽監督に就任して以来、ずっと“特別な作品”ばかりを取りあげてきたともいえる。マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」や、同じくマーラーの交響曲第9番、シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」等々。最初のシーズンを、まずは慎重なプログラムで始めるのではなく、いきなりその作曲家の集大成的な傑作を選んで、スロットルを全開にしてオーケストラとの結びつきを強めてきた。その成果がワーグナーの《パルジファル》抜粋で発揮される。独唱者はパルジファル役のテノール、クリスティアン・エルスナーと、クンドリ役のソプラノ、アレックス・ペンダの二人。
ノットは驚嘆すべき幅広いレパートリーの持ち主である。現代音楽にも並ならぬ意欲を持つ一方で、歌劇場でオペラの豊富な経験も持つ指揮者は決して多くはない。2013年のルツェルン音楽祭ではワーグナーの《ニーベルングの指環》全曲を演奏会形式で上演している。今回演奏されるベルクの「抒情組曲」からの3つの小品とワーグナーの《パルジファル》という組合せは、ノットの魅力を最大限に伝えてくれるものとなるだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)
第49回 川崎定期演奏会
3/13(金)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
第628回 定期演奏会
3/14(土)18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511
http://tokyosymphony.jp