珍しいキノコ舞踊団『珍しいキノコ御膳 美味しゅうございます。』

何が起こるのかは、当日のお楽しみ

『金色時間、フェスティバルの最中。』 ©片岡陽太
『金色時間、フェスティバルの最中。』 ©片岡陽太
 えーっと、なんだろうこれは? というタイトルだが、中身もなかなかのものである。ポップでキュートなダンスが魅力のカンパニーの三本立て公演…。まずは主宰者の伊藤千枝作品(わかる)、そして舞踏の重鎮・大野慶人作品(まあわかる)、そして「バカドリル」「味写」などで知られる天久聖一作品(は?)という意外な組み合わせなのだ。
 伊藤によると「舞踏には以前から興味があったけど、大野さんのワークショップが本当に感動的で。自分がいままで探ってきたことを再確認できた」という。彼女たちが外部から振り付けられるのも、大野が他人に振り付けるのも初挑戦なのだとか。
 天久は漫画のイメージも強いが、PV制作や演出などもしている。今回は天久が『なんとなく風流』というタイトルの文章を書き、それをもとに伊藤が振付構成するそうだ。じつは大野作品もキノコのメンバーと一緒の創作で、大野自身が『僕は(振付家ではなく)水先案内人だから』と言っているという…… それは結局ぜんぶ伊藤が創っているのでは?
「その面はあります(笑)。ただずっと『大切なことは全て自分の中に持っている』と思ってきた私が、今回お二人との作業を通して、初めて自分やカンパニーの『外側』を意識することができた。大野・天久作品の要素が、私自身の作品にも強く影響を与えているんです」(伊藤)
 どうやらこれまでと違う要素が満載になりそうな「キノコ御膳」、楽しもうではないか。
文:乗越たかお(作家・ヤサぐれ舞踊評論家)
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/12(木)〜3/15(日) 東京芸術劇場シアターイースト 
3/28(土)、3/29(日) 世田谷パブリックシアターシアタートラム 
問:珍しいキノコ舞踊団090-4844-1515 
http://www.strangekinoko.com