モーツァルト演奏・研究の第一人者であるロバート・レヴィンと、2023/24シーズンに創設50周年を迎えたアカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック(AAM)は、1993年にモーツァルトのピアノ協奏曲全集プロジェクトをスタートした。その最終巻となる13枚目のアルバムが遂にリリースとなった。曲は後期作品の華やかな第25番と第27番、両者の間にはチャーミングなコンサート・アリア K.505を収める。ヴァルターをモデルとしたレプリカによる滑舌の良いレヴィンのフォルテピアノと、生き生きと精緻に奏でるAAMの対話が実に鮮やかであり、透明感のある響きが魅力的な完結盤である。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2024年8月号より)
【information】
CD『モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番&第27番 他/ロバート・レヴィン&アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック』
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番、同第27番、レチタティーヴォとアリア(ロンド)「どうしてあなたを忘れられるでしょう? —心配しないで、愛する人よ」 K.505
ロバート・レヴィン(フォルテピアノ)
リチャード・エガー(指揮)
アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック
ルイーズ・オルダー(ソプラノ)
AAM Records/ナクソス・ジャパン
NYCX-10475 ¥3300(税込)