ジェイムズ・エーネス ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 I & II

CD録音でも評価高い楽聖のソナタ10曲をライブで聴く好機

©Benjamin Ealovega

 カナダ出身のヴァイオリニスト、ジェイムズ・エーネスが紀尾井ホールにおいてベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を2日間で演奏する。つまり第1番から第5番までが11月14日に、第6番から第10番までが16日に、番号順で弾かれる。

 エーネスは、1976年生まれ。13歳でモントリオール交響楽団と共演するなど、早くから才能を開花させた彼は、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、ロンドン響などのオーケストラと共演するだけでなく、2010年にエーネス四重奏団を結成し、シアトル室内楽協会の芸術監督も務め、室内楽にも熱心に取り組んでいる。22年には、ファビオ・ルイージ&N響とベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を共演し、作品にふさわしい柔らかで伸びやかな美音で格調高い演奏を披露した。

 ますます音色に磨きをかけ、表現に深みを増した、まさに壮年期にあるエーネスが、今回、ベートーヴェンの10曲のソナタを集中的に取り上げて、どんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみである。使用楽器は1715年製ストラディヴァリウス「マルシック」。ピアノ共演は、ソロだけでなく、パールマンやハーデリヒらとの共演でも評価の高いオライオン・ワイスが務める。二重奏としての醍醐味を味わわせてくれるだろう。2日間でベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタをコンプリートするということは、聴き手にとってもたいへん貴重な体験になるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年7月号より)

【 I 】2024.11/14(木)18:45 
【 II 】2024.11/16(土)14:30 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp 
https://kioihall.jp
※公演日によりプログラムが異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。