飛躍を続ける四重奏団の新シリーズがスタート!
瞬く間に日本を代表する常設四重奏団と見なされる存在になったクァルテット・インテグラ。ミュンヘンのコンクールで第2位と聴衆賞受賞、現在はロサンゼルスのコルバーン・スクールでレジデンス・アーティストとして在籍し、研鑽を積みながら演奏活動を展開。今年からチェロにパク・イェウンが正式加入し、彼らの活動は新たなステージに入っている。
その新生インテグラが、王子ホールで注目の新シリーズを開始する。最初のテーマに選んだのはシューベルトとウェーベルン。それまでにない精妙かつ大胆なハーモニーで19世紀ロマン派の流れを作ったシューベルト。爛熟した後期ロマン派の音楽を経て、無調から十二音音楽を先鋭的なまでに押し進め、20世紀音楽の潮流を作ったウェーベルン。約1世紀を隔てたウィーンで、新たな音楽の領域を確立した2人を組み合わせることで、それぞれの世界観が照射されていく。
9月のシリーズ第1回は、シューベルトの第9番と第13番「ロザムンデ」にウェーベルンの「弦楽四重奏のための5楽章」op.5が挟まれる、硬派かつ意欲的なプログラム。ウェーベルンは後年ほどのストイックさはまだ薄く、無調の緊張感の中にエモーショナルなものが十分に感じられるはず。シューベルトの第9番はト短調の厳しい響きに10代の作曲者の閃きが光る佳品で、「ロザムンデ」は名旋律の数々とハーモニーの繊細な変化がしみじみ美しい名品。いずれもごまかしは1秒もきかない作品ばかり。まだ若き4人の確信あふれるステージを体感する。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年7月号より)
2024.9/25(水)19:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp