「荒木奏美 IN CONCERT」と題された当ディスクは、指揮者の大友直人が企画し、若手演奏家を紹介する「T-Shotシリーズ」の一環である。高崎芸術劇場の響きを生かした質の高い録音を特色とする。その第11弾には新進気鋭のオーボエ奏者、荒木奏美が登場。プログラムは古典派からロマン派を経て現代までと幅広いが、いずれの作品においても端正な演奏スタイルによって、各々の様式が的確に捉えられている。とりわけオーボエの大家ホリガーの妻で、ハープ奏者のウルスラの死を悼んだクルターグによる無伴奏作品「遠くからウルスラへの手紙」には荒木の豊かな想像力が感じられる。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2024年7月号より)
【information】
SACD『高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Shotシリーズ vol.11 荒木奏美 IN CONCERT』
ドヴィエンヌ:ソナタ第2番/R.シューマン:3つのロマンス/クルターグ:遠くからウルスラへの手紙/ドラニシニコワ:ポエム/パスクッリ:椿姫の楽しい思い出 他
荒木奏美(オーボエ)
秋元孝介(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCC-00170 ¥3850(税込)