【CD】竹田恵子 ドイツ歌曲をうたう ―林光の訳による―

 林光の訳詞によるドイツ歌曲集。オペラシアターこんにゃく座で、長年彼と活動を共にしてきた竹田恵子の歌と井口真由子のピアノ。訳詞だから当然原語とは違うが、数多くのオペラや声楽曲を手掛けている林らしく、日本語がごく自然に、旋律とよく馴染む。竹田は林の意図を巧く掬い取る。例えばシューベルトの〈魔王〉は、父、子、魔王の歌い分けの言葉と歌がぴったりで、原曲さながらの迫力で迫ってくる。〈水の上でうたう〉も自在な詞と歌。ピアノもきれい。〈小川の子守歌〉で“眠れ安らかに”の語りかけは、やがて静かな祈りとなる。〈春の夢〉の夢と現実の間の世界の激変。それでも夢みたい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2024年6月号より)

【information】
CD『竹田恵子 ドイツ歌曲をうたう ―林光の訳による―』

モーツァルト:春へのあこがれ、すみれ/シューベルト:ます、魔王、水の上でうたう、歌曲集「美しき水車小屋の娘」より〈小川の子守歌〉、歌曲集「冬の旅」より〈春の夢〉/シューマン:歌曲集「詩人の恋」より〈美しい五月〉 他

竹田恵子(うた)
井口真由子(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-7294 ¥3300(税込)