若手指揮者の登竜門として知られる第52回ブザンソン国際指揮者コンクールの決勝が9月23日に行われ、垣内悠希(かきうちゆうき/33歳)が優勝した。同コンクールはフランス東部で毎年開催されているコンクールで、これまでに小澤征爾(第9回)、松尾葉子(第32回)、佐渡裕(第39回)、沼尻竜典(第40回)、曽我大介(第43回)、阪哲朗(第44回)、下野竜也(第47回)、山田和樹(第51回)が優勝しており、日本人優勝者は垣内で9人目となった。
垣内は1978年東京出身。6歳よりピアノを始め、14歳より指揮の勉強を始めた。2001年に東京芸術大学の楽理科を卒業し、同年にウィーン国立音楽大学指揮科に入学、09年にオーケストラ指揮の修士(マスター)を取得、同大学を首席で卒業した。これまでに指揮を小澤征爾、佐藤功太郎、湯浅勇治、レオポルド・ハーガー、ジャンルイジ・ジェルメッティらに学んでいる。
指揮活動は芸大の在学中から開始し、主にシェーンベルク、ストラヴィンスキーなど近・現代作品を精力的にとりあげていたという。06年にはブラショフ交響楽団の定期公演で「チャイコフスキー:交響曲第5番」ほかを振り、ヨーロッパ・デビューを果たした後、ザルツブルク・ユンゲ・フィルハーモニーやワールド・ユース・オーケストラなどを指揮している。日本では08年と09年に大阪シンフォ二カー交響楽団(現・大阪交響楽団)を指揮して高く評価された。現在はウィーン国立音楽大学大学院に在籍しオペラ指揮とコレペティツィオンを専攻している。今後は12年7月にフランスのメドック音楽祭に参加、同年8月末と10月末にはベルギー放送ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団とのツアーを行う予定。