【SACD】アランフエス/ティボー・ガルシア

 今年30歳を迎える、スペイン系のルーツを持つフランス生まれの俊英ギタリストの新譜。主軸となるのはロドリーゴによる不朽の名作と、セゴビアとの親交で知られるタンスマン(1897〜1986)がルイ14世時代のド・ヴィゼー作品を新古典主義的響きでまとめた「王宮の音楽」という、ギターのための協奏曲2曲。その間を“アランフェス”の初演者である天才デ・ラ・マーサが民謡に基づいて書いた哀愁ただよう独奏曲4曲と、ド・ヴィゼーのオリジナルをガルシア自らギター独奏用に編曲した組曲が埋めるという選曲構成が絶妙。トゥールーズ・キャピトル管の好サポートも光る。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2024年5月号より)

【information】
SACD『アランフエス/ティボー・ガルシア』

ロドリーゴ:アランフエス協奏曲/R.S.デ・ラ・マーサ:サパテアード、ロンデーニャ/タンスマン:王宮の音楽(ロベール・ド・ヴィゼーによる)/ヴィゼー(T.ガルシア編):テオルボとリュートのための小品 組曲 イ短調 他

ティボー・ガルシア(ギター)
ベン・グラスバーグ(指揮)
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13848 ¥3300(税込)