日本フィル 第40回 九州公演

オーケストラと地域の絆が熱演を生む

 日本フィルの九州公演が40周年を迎える。今年は2月4日から17日にかけて、宮崎、大分、唐津、佐賀、長崎、北九州、熊本、大牟田、福岡、鹿児島をめぐる全10公演が開催される。指揮を担うのは桂冠指揮者である小林研一郎。九州公演での指揮は6年ぶりだ。
 40年にもわたり継続してツアーが行なわれていることには驚くばかりだが、これも日本フィルと九州各地の愛好家たちとの強い結びつきがあってこそ。単に演奏会を開催するだけではなく、各地でボランティアスタッフが実行委員会に参加するなど、地域が主体となって音楽文化の一端を担っているのがこの九州公演の特色である。本番に先んじて日本フィルのメンバーが病院や幼稚園、学校などを訪れて室内楽を演奏したり、公演後に地元の実行委員会と楽団員、指揮者、ソリストが一緒になって懇親会で交流を深めるなど、「市民とともに歩む」日本フィルらしい活動が40年の歴史を作りあげている。
 プログラムには「炎のマエストロ」の持ち味が発揮されるであろう曲目が並ぶ。メインプログラムはドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」、またはベルリオーズの「幻想交響曲」。そして、小林亜矢乃独奏によるモーツァルトのピアノ協奏曲第20番や、千住真理子によるサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」ほかのヴァイオリン名曲など、ソリストの妙技にも期待が高まる。
 地域とオーケストラの絆が、熱く豊かな音楽となって結実する。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)

2/4(水)〜2/17(火) 全10公演
問:日本フィルハーモニー交響楽団03-5378-6311
※詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.japanphil.or.jp