戦前から日米を股にかけ活躍した木琴奏者・平岡養一が委嘱したり初演した3つの作品を収録した。黛敏郎作品はすでに鍵盤打楽器奏者のレパートリーになっているが、近年発見され飯野が初演した小山清茂作品は長野の民謡を取り込んだ分かりやすい曲、紙恭輔作品も愛すべき佳品で、溌剌とした演奏と相まって今後このジャンルで活動する人々の指標となっていくだろう。興味深いことに黛・小山作品は委嘱した平岡が気に入らなかったり書き直しを要求したため、本人が初演しなかった。平岡がいたからこそ書かれた曲だとはいえ、有名作曲家に平気でダメ出しする妥協なき姿勢が伝わるエピソードだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年4月号より)
【information】
CD『木琴協奏曲集 平岡養一と日本の作曲家たち /飯野晶子』
黛敏郎:木琴小協奏曲/紙恭輔(西邑由紀子編):木琴と管絃楽のための協奏曲/小山清茂(西邑編):木琴と管弦楽のための協奏組曲「鄙唄」
飯野晶子(木琴)
佐藤友美(ピアノ)
コジマ録音
ALCD-7293 ¥3300(税込)