公演を目前に控えたメトロポリタン・オペラの総裁ピーター・ゲルブが5月31日(火)に都内のホテルで緊急会見を行い、被災者へのお悔やみと復興への励まし、そして公演への抱負など語った。今回の来日公演は震災の影響による原発事故などで指揮者や主要キャストのキャンセルなどが日本の多くのオペラファンの間で動向が注目されていた。
「震災が起きて、日本で安全が確認されれば公演を実施し、責任を果たそうと考えていた。
私たちの来日は正しい決断だと思っている。メトロポリタン・オペラは震災後最初に日本で公演をおこなう大きなオペラ・カンパニーとなるわけで、その意味でも高い成果を出すことができればうれしいと思っている。世界各国のオーケストラ団体などが、日本での演奏を躊躇していると思うが私たちの公演が大きな指針となるでしょう」
すでにカウフマン、ボロディナなど大スターがキャンセルしているが、この来日直前にもアンナ・ネトレプコとジョゼフ・カレーヤが来日の中止を決定したばかり。配役の変更も生じた。
「スターのキャンセルは残念ですが、通常の公演でも普通にある。だからこそオペラはというものはスリリングであると言える。まさに生きものなのです。私はこの48時間で、急きょ世界中に代役を探し、ロランド・ヴィラゾンと次代の大スターであるマリーナ・ポプラフスカヤが歌ってくれることになりました。我々は世界的なカンパニーなので、世界的水準の演奏をいなければいけないと自負しています。ヴィラゾンは喉の故障で世界のオペラハウスから遠ざかっていましたが、最近ロイヤル・オペラに出演して絶賛されました。メトロポリタン・オペラでは日本公演で、大々的にカムバックを果たすことになります。ネトレプコやカレーヤのかわりに素晴らしい才能に出会えることをお約束します」と語った。
メトロポリタン・オペラの最終キャストおよび公演スケジュールについてはジャパン・アーツのホームページを参照のこと。
問:ジャパン・アーツぴあコールセンター03-5774-3040