【CD】リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌 /アスミク・グリゴリアン

 ドラマティックなソプラノ歌手グリゴリアンが、R.シュトラウス最晩年の作「4つの最後の歌」を2つのバージョンで歌い分ける。オーケストラ版は、ミッコ・フランク指揮フランス放送フィルとの共演で、一つひとつが、オペラのクライマックスのよう。魔術的なオーケストレーションがもたらす色彩豊かな響き。グリゴリアンの声も独奏楽器のようにオーケストラに溶け込んで、鮮やかな情景を描く。一方、ピアノ版はヒンターホイザーとの共演。こちらは言葉が前面に出てきて、行間のなかに潜む情感をじっくりと掘り起こす。より内面的。心のなかに情景を映し出すかのよう。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年3月号より)

【information】
CD『リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌 /アスミク・グリゴリアン』

R.シュトラウス:4つの最後の歌(管弦楽伴奏版、ピアノ伴奏版・M.ヴォルフ&J.グリッベン編)

アスミク・グリゴリアン(ソプラノ)
ミッコ・フランク(指揮)
フランス放送フィルハーモニー管弦楽団
マルクス・ヒンターホイザー(ピアノ)

Alpha/ナクソス・ジャパン
NYCX-10451 ¥3520(税込)