【CD】シャコンヌ&ロマンス/髙木凜々子

 名前こそリリコ(叙情)だが、彼女の弾くヴァイオリンはレッジェーロ(優美にして軽快)の趣も宿す。晦渋な音楽と言われがちなバッハの「シャコンヌ」も、ハスキーなカンタービレで大らかに音を紡いでいく。とくにニ長調の中間部での明るい音色は、彼女の弾くストラディヴァリウスならではの温かみ。それは、ベートーヴェンの「ロマンス」第2番の爽やかさにも通じよう。これら2つの作品は、前回のアルバム『リリコ・カンタービレ』録音時に未収録となっていた音源だという。既出のヴィターリの「シャコンヌ」、ショスタコーヴィチの「ロマンス」と組み合わせ、瀟洒な絵巻物を作り出す。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年2月号より)

【information】
CD『シャコンヌ&ロマンス/髙木凜々子』

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番よりシャコンヌ/ベートーヴェン:ロマンス第2番/ヴィターリ:シャコンヌ/ショスタコーヴィチ:映画『馬あぶ』より「ロマンス」

髙木凜々子(ヴァイオリン)
三又瑛子(ピアノ)

BRAVO RECORDS
BRAVO-10013 ¥2200(税込)