「フーガの技法」「音楽の捧げもの」「トッカータ」などのJ.S.バッハ作品をピアノで録音し続ける近藤伸子。「新ウィーン楽派ピアノ作品集」は一連のバッハ・アルバムに先立ち、2005年にリリースされた近藤初のCDで、昨年秋に再発売された。シェーンベルクのピアノ作品を網羅し、ウェーベルンの「変奏曲」「子供のための小品」、ベルクのソナタといった主要曲を1枚にまとめた秀作。2004年の録音から20年を経た今もなお、近藤の抑制の効いた叙情性、見通しの良さを感じさせる確信に満ちたタッチは緊張美があり、“20世紀の古典作品集”として長く聴かれるべき演奏だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2024年2月号より)
【information】
CD『新ウィーン楽派ピアノ作品集/近藤伸子』
シェーンベルク:3つのピアノ曲 op.11、6つのピアノ小品、5つのピアノ曲、ピアノ組曲、ピアノ曲 op.33a,33b、3つのピアノ曲/ウェーベルン:変奏曲 op.27、子供のための小品/ベルク:ソナタ op.1
近藤伸子(ピアノ)
ナミ・レコード
WWCC-7995 ¥2750(税込)