快適な空間で極上の響きに浸る至福の新年
木管アンサンブルの響きは、理屈抜きに心地よい。それを木に包まれた小ぶりのホールで聴けば、心地よさはさらに増す。1月によみうり大手町ホールで行われる「ニュー・イヤー・コンサート〜華麗なる木管五重奏〜」は、まさにそんな幸せなコンサートだ。『読響アンサンブル・シリーズ』の第3回目でもある同公演の主役は、読売日本交響楽団の管楽器奏者26人の中に占める4人の女性奏者=首席フルートの倉田優、オーボエの北村貴子、首席クラリネットの藤井洋子、ファゴットの岩佐雅美。この木管の華やかな顔ぶれに、ホルンの伴野涼介、打楽器の野本洋介が加わって、柔らかく温かな響きを聴かせる。
プログラム前半は、ハイドンの「ディヴェルティメント 変ロ長調 Hob.Ⅱ:46」(これ実は、第2楽章の主題がブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」に用いられた曲)、イベールの「3つの小品」といった本格的な木管作品。繊細かつふくよかな音が精緻に綾なすアンサンブルを、じっくりと堪能できる。後半は雰囲気を変えて、「観光列車」「美しく青きドナウ」をはじめとするヨハン・シュトラウス2世等のワルツやポルカ。こちらはおなじみのメロディと共に、晴れやかなウィーンのニューイヤー気分を満喫できる。ちなみに木管によるこうしたウィーンの音楽も定番のひとつだ。
読響の管楽器陣の技量の高さは周知の事実。その音色美と名技を、室内楽に最適な501席のホールで味わうのは、新年早々贅沢この上ない。ここは、日常の憂さや疲れを忘れ、極上の読響サウンドに浸ろう!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)
2015.1/17(土)14:00 よみうり大手町ホール
問:読売新聞文化事業部03-3216-8500
http://yomi.otemachi-hall.com