楽しい工夫が仕掛けられたステージに期待
「黒い薔薇歌劇団」? モーツァルト《魔笛》で旗揚げ公演を行なうこの怪しげな団体は、バリトン宮本益光が主宰する新しいオペラ・カンパニー。奇妙な名は二ノ宮知子のコミック『のだめカンタービレ』の「アンコール オペラ編」(単行本24&25巻)に登場する市民オペラ団体「白い薔薇歌劇団」から想を得ている。『のだめ』に取材協力していた宮本は二ノ宮とは既知の間柄だから、もちろん許可を得ての命名であるだけでなく、公演チラシは二ノ宮の描き下ろしによる出演者の似顔絵イラストをあしらった貴重版!
主宰の宮本によれば、所属や構成員を定義していない団体とのことだが、旗揚げ公演に集まった顔ぶれは豪華だ。宮本がパパゲーノ役と構成を務め、鈴木准(タミーノ)、砂川涼子(パミーナ)、鵜木絵里(パパゲーナ)、塩田美奈子(夜の女王)、大塚博章(ザラストロ)といった、人気・実力・実績ともに充実のメンバーたち。字幕付き原語上演に加えて、よりわかりやすくという意図だろう、ナレーションも付く。そのナレーションを俳優・長谷川初範が務めるのも、これまた豪華。石野真穂のピアノ伴奏による上演だが、公演チラシには「魔法の笛:難波薫(フルート)」「魔法の鈴:壑島美沙(ダンサー)」と、音楽スタッフなのかキャストなのか判別しづらい名前も。多彩な活動を繰り広げるアイディア豊富な宮本だけに、なにやら楽しげな工夫を仕掛けているようだ。そこは観てのお楽しみ!
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年1月号から)
2015.1/17(土)15:00 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
問:かつしかシンフォニーヒルズ03-5670-2233
http://www.k-mil.gr.jp