室内楽ファン注目のシリーズでベテランと若手実力派が競演
弦楽四重奏は小さなオーケストラと言っても良い。ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ各1による弦楽器4人編成で作り出される音楽は、時にそれぞれのパートを繊細に浮かび上がらせながら、一緒に演奏する時には大きなうねりを作り出し、作曲家の持つ音のイメージを訴えかけてくる。第一生命ホールで展開される「クァルテット・ウィークエンド」では、日本だけでなく世界各地からやって来た団体が、その豊かな世界を教えてくれている。
3月16日の公演では日本を代表するクァルテット・エクセルシオと注目の若手グループであるカルテット・プリマヴェーラが共演する。日本では珍しい常設の弦楽四重奏団として多彩な活動を行うクァルテット・エクセルシオはハイドンの第79番「ラルゴ」を、カルテット・プリマヴェーラはチャイコフスキーの第1番を演奏し、後半ではメンデルスゾーンの傑作である弦楽八重奏曲を共演する。
ベテランの域に入ったとはいえ、エクセルシオの演奏は常に新鮮な視点を持ち、作品の奥にある真価を目指す。桐朋学園大学在学中の2021年に結成されたプリマヴェーラは、それぞれが高い実力を持つ注目の団体。第2楽章が「アンダンテ・カンタービレ」として知られるチャイコフスキーの名作を、新しい世代の視点から見つめ直してくれるに違いない。メンデルスゾーンでは一人ひとりの役割も重要となる。アイディア満載のその楽しさを、間近で体験しよう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2024年1月号より)
クァルテット・ウィークエンド 2023 – 2024
クァルテット・エクセルシオ × カルテット・プリマヴェーラ
2024.3/16(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net