モーツァルト・シンガーズ・ジャパン Vol.5 《バスティアンとバスティエンヌ》(字幕付き)

第5弾は12歳の神童がのこした恋物語

左より:宮本益光/望月哲也 ©Yoshinobu Fukaya/aura.Y2/鵜木絵里 ©Yoshinobu Fukaya/aura.Y2/髙田恵子

 日本におけるモーツァルトのオペラのスペシャリストである歌手とコレペティートルが結集して2018年に誕生したモーツァルト・シンガーズ・ジャパン(MSJ)は、これまでに4回、王子ホールでモーツァルト・オペラの上演を行ってきた。オペラになくてはならない「縁の下の力持ち」であるコレペティートルのピアノ伴奏による演奏は、モーツァルト特有の声のアンサンブルが堪能できるという長所がある。また、主宰の宮本益光による、王子ホールという空間の親密さを活かした演出は、通常のオペラ公演にひけを取らない満足感が味わえると大好評だ。

 第5弾となる今回は、モーツァルトが12歳の時に書いたオペラ《バスティアンとバスティエンヌ》を取り上げる。これは地のセリフのある一種のジングシュピールで、登場人物も羊飼いの娘バスティエンヌとその恋人のバスティアン、そして魔法使いのコラの3人だけ。時間も40〜50分ぐらい。MSJはすでに2020年にCDをリリースしており、今回もバスティアン望月哲也、バスティエンヌ鵜木絵里、コラ宮本益光、ピアノ髙田恵子というCDと同じメンバーが出演する。また東京シティ・バレエ団による踊りが入るのもとても楽しみだ。

 プログラム前半は「10代のモーツァルト」と題し、作曲者が10代の時に書いたカンタータや音楽劇からのアリアなどが演奏される。普段はあまり聴く機会のない作品が多い。日本を代表する「モーツァルト歌い」である3人が、さらなるモーツァルトの世界を拓いてくれることだろう。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2023年12月号より)

2024.2/17(土)14:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
https://www.ojihall.jp