常任指揮者に大井剛史が就任
東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)が11月13日、都内で記者会見を行い、2024-25シーズンのラインナップ、および現正指揮者の大井剛史が常任指揮者に就任することを発表した。登壇者は、大井、コンサートマスターでサクソフォン奏者の林田祐和、理事長の勝川本久の3名。大井の常任指揮者就任は24年4月、任期は5年間。
2014年より正指揮者を務め、同楽団とは10年近い付き合いとなる大井は、「現在も新しい個性と響きが生まれつつあることを考えると、これからの5年間は大いに期待できますし、一緒に組んで良いものができるという確信があります」と話す。今後は定期演奏会の企画制作を始め、『つくる。つつむ。つなぐ。』というコンセプトのもと、5つの新たな企画を5年間を通した中長期的なビジョンで展開していく。そのうちのひとつ、デイヴィッド・マスランカによる全9曲の交響曲のうち、吹奏楽編成である7曲を取り上げる「マスランカ・チクルス」について、以下のように意気込みを語った。
「5年という時間をいただいたので、縦軸となるような企画をしたいと思いました。私は今まで彼の作品について、人気作曲家であるものの、難解で混沌としているのでなかなか理解できずにいたのですが、レクチャーで彼の人生について聞いたり、演奏したりする中で、彼の音楽は本物だ、心の内からきている音楽だ、と確信しました。また、編成や楽曲の長さが吹奏楽の常識を飛び出ている彼の作品を最後までやりきったときの充実感を楽団のみなさん、お客さんともにシェアしたい、味わいたいと思っています」
これに加えて、30歳以下の有望な若手作曲家への新作委嘱や、過去委嘱作品48作に積極的に取り組むなど、意欲的な企画が予定されている。
また、今年4月よりコンサートマスターに就任した林田は 「多くの人に必要とされる楽団でいなければならないと思っているし、そのために努力していきたいと思う。この楽団でしか成し得ないレパートリーや表現を多くのお客様に聴いていただいて、何か感じて欲しい」と抱負を語った。
そして、今後は各定期公演の開催前に、吹奏楽に親しみを持ってもらうことを目的に楽曲解説などを行うトークイベントが開催される。このイベントには、作曲家でNHK FM『吹奏楽のひびき』のパーソナリティも務める中橋愛生が大井とともに登壇。中橋は、同楽団の“楽芸員”に就任し、プログラムの楽曲解説の執筆も行う。
現在、年間3回となっている定期演奏会は、24年度には4回、25年度以降は5回と拡大していく。2024-25シーズン全4回の定期演奏会では、常任指揮者の大井、首席客演指揮者の飯森範親、横山奏がタクトをとる。そのほか、大井の常任指揮者就任記念演奏会と課題曲コンサート2025、指揮者に天野正道を迎えてのNew Sounds in BRASS コンサート2024を予定している。
写真・文:編集部
東京佼成ウインドオーケストラ
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