第28回 二期会 ディーヴァ, ディーヴォ

未来のスター・ソプラノ3人のデビュー・コンサート

 二期会オペラ研修所のマスタークラスを修了したばかりの期待の新星たちが初々しい歌声を披露する「二期会 ディーヴァ, ディーヴォ」。今まさに羽ばたこうとする瞬間の情熱がステージにあふれる。12月の公演には3人のソプラノが登場する。

 東幸慧は東京音大出身。研修所の公演でもツェルビネッタ(プロローグ)やジルダを披露していたレッジェーロ。今回は《椿姫》の〈ああ、そはかの人か〉や《ラクメ》の〈若いインドの娘はどこに(鐘の歌)〉で、鮮やかなコロラトゥーラを聴かせてくれるはず。

 岩谷香菜子は東京藝大出身。R.シュトラウスの歌曲〈私は一本の花束を作りたかったの〉と《ランメルモールのルチア》の〈あたりは沈黙に閉ざされ〉を歌う。後者はコロラトゥーラのアリアだけれど、研修所の修了試演会での彼女の、ジルダの〈いつも日曜日に教会で〉を聴くと、抒情的なリリコの充実した響きも印象的だ。広いレパートリーが期待できそう。

 中江万柚子は宝塚歌劇団の男役として活動後に桐朋学園で学んだという異色の経歴。力強いリリコ・スピントが魅力。《仮面舞踏会》の〈あの草を摘みとって〉はもちろんぴったりだろうし、レッジェーロ寄りの《連隊の娘》のマリーのアリア〈フランスに栄光あれ〉を歌うのも楽しみだ。

 これまでの出演者たち同様、明日の日本のオペラ界・声楽界を担う存在。いち早く“推しメン”を見つける絶好のチャンスだ! 恒例のトークコーナーも微笑ましい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2023年11月号より)

2023.12/21(木)14:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
https://hakujuhall.jp