ギターの超名曲とドヴォルザークの秘曲のカップリング
若く情熱を持った演奏家の共演はいつも興味深いもの。特にオーケストラとの場合、指揮者や独奏者とオケにどんなケミストリーが起こるか、注目していなければならない。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の第75回ティアラこうとう定期演奏会はまさにそんなときめきに満ちたコンサートになりそうだ。指揮の松本宗利音(しゅうりひと)とギターの朴葵姫(パク・キュヒ)が民族色あふれる音楽で共演する。
松本はかつて東京シティ・フィル指揮研究員を務め、札幌交響楽団指揮者や各地のオーケストラへの客演などで腕を磨いてきた。朴は日本と韓国で育ち、荘村清志、福田進一らに師事。またウィーン国立音楽大学に留学し、首席で卒業したという実力派。録音も数多くリリースしている。ふたりが共演するのはクラシカル・ギターのための協奏曲としては定番中の定番「アランフェス協奏曲」だが、特に有名な第2楽章(ジャズなどにも編曲された)をはじめ、楽章ごとに聴かせどころがある難曲である。世界でも活躍する朴の演奏は若い演奏家らしい発想に満ちているに違いない。
その前にグリンカのスペイン序曲第1番、そして後半でドヴォルザークの序曲三部作「自然と人生と愛」という珍しい作品を選んだ松本のタクトにも注目だ。とりわけドヴォルザークの隠れた名曲とも言われる序曲三部作を一挙に聴くチャンスは滅多にないだけに、松本が東京シティ・フィルからどんな響きを引き出すか、期待したい。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年11月号より)
第75回 ティアラこうとう定期演奏会
2023.11/23(木・祝)15:00 ティアラこうとう
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
https://www.cityphil.jp