【SACD】バッハ:ゴルトベルク変奏曲 リ・イマジンド /レイチェル・ポッジャー

 ピリオド奏法の名手ポッジャーとブレコン・バロックによるバッハのゴルトベルク変奏曲の新たな室内管弦楽版の録音が生まれた。アルバムのタイトルが示す通り、これは単なる編曲ではなく、各変奏曲を新たな音楽として捉え直す意欲的な試みである。ポッジャーの独特な歌い回しのアリアで始まる演奏では、一瞬違う作品のようにすら聴こえる。管楽器が加わることで音色が豊かになるが、圧巻は鍵盤楽器では表現不可能な音響的広がりをみせるクオドリベットである。各パート名手揃いの中、作品をリイマジンしたチャド・ケリーのチェンバロが常に音楽を強固に下支えしているところが成功の鍵であろう。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2023年11月号より)

【information】
SACD『バッハ:ゴルトベルク変奏曲 リ・イマジンド /レイチェル・ポッジャー』

バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988(チャド・ケリーによる室内管弦楽版)

レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン)
ブレコン・バロック(古楽器アンサンブル)
チャド・ケリー(チェンバロ)

CHANNEL CLASSICS/ナクソス・ジャパン
NYCX-10433 ¥3630(税込)