群馬交響楽団 2024-2025シーズン定期演奏会プログラム発表記者会見

 群馬交響楽団は、10月24日に記者発表を行い、2024-2025シーズンの定期演奏会等のプログラムを発表した。会見には、常任指揮者の飯森範親、ソロ・コンサートマスターの伊藤文乃、音楽主幹の上野喜浩のほか、同楽団が本拠地を置く高崎芸術劇場の関係者らが登壇した。

左:群馬交響楽団常任指揮者 飯森範親 右:ソロ・コンサートマスター 伊藤文乃

 常任指揮者就任1年目の今シーズンは、モーツァルト作品を毎回の定期プログラムに入れているが、飯森は「群響の皆さんのポテンシャルの高さをモーツァルトを通して発揮できる場を提供できているのではないか」とし、「2年、3年、4年と経った時に、『あのときモーツァルトをやって群響の音はさらに研ぎ澄まされた』と必ず感じていただけると思います」と手応えを感じている様子をのぞかせた。伊藤コンサートマスターによれば、「和やかな雰囲気でリハーサルができている。こだわりの強いマエストロなので、アプローチの仕方も含めて勉強になっている」という。

 2024-25シーズンは、全10回の定期演奏会と楽員プロデュース制の室内楽シリーズを全5回開催する。定期演奏会では、「第600回記念定期演奏会」「海外指揮者・ソリストの起用」「多彩なプログラム 年代や編成、様々な楽器のソリスト」「楽員ソリストの起用」の4つをテーマに掲げた。全10回のうち5回をパスカル・ロフェ、アレクサンダー・リープライヒなど海外指揮者が振り、海外からのソリストも6人と楽団史上最多の登場となる。その他、原田慶太楼、太田弦など若手指揮者も登壇。また、楽員の中から、ソロ・コンサートマスターの伊藤ら、管弦楽器の首席奏者6名をソリストに起用したのも大きなトピックスだ。オルフ「カルミナ・ブラーナ」のような大規模作品も含め、モーツァルトから新進気鋭の作曲家、山本菜摘への委嘱新作など現代作品まで、幅広いプログラムが組まれている。

 節目となる2024年7月の第600回定期演奏会のプログラムの意図を、飯森は次のように紹介した。
「マルク・ブシュコフを招いてコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を演奏します。コルンゴルトは私がヨーロッパで初めて指揮をした地でもあるチェコのブルノで生まれた作曲家です。また、第600回にちなんで、モーツァルトのK.600、『6つのドイツ舞曲』を演奏します。そして、R.シュトラウス作品シリーズ第2弾となる『家庭交響曲』は、これまでにも振っていますが、交響詩的な要素もあり、シュトラウス家の人物たちが音楽で表現されています。バイエルンのオペラハウスでサヴァリッシュ先生のところで勉強していたときに、彼から学んだR.シュトラウスのメンタリテート(感覚、精神性)を、群響の皆さんと再現できるのが楽しみです」

 R.シュトラウス作品には3年にわたり継続的に取り組んでおり、就任時に取り上げた「英雄の生涯」に続いて「家庭交響曲」は2作目となる。また、3シーズンかけてブルックナー、マーラー、ベートーヴェンの3つの「第九」交響曲を演奏する計画だが、来シーズンはマーラーの第9番をシーズン最終公演に選んだ。

「マーラーの第9番は私がとても大事にしている作品で、楽譜に書いてある以上のことを読み取るには、人生経験が必要だと思っています。自分が指揮者を何歳まで続けるかわかりませんが、80歳を過ぎてもまだ人生経験が足りないなと思うかもしれない。人生経験を長く、深く積むことで、マーラーの音楽表現に繋げたいと思いながら、毎日を過ごしています」

  高崎芸術劇場サイドからは、クラシック音楽ファンの裾野を広げるべく、群響と連携して2022年から行っているシリーズ「GTシンフォニック・コンサート」を継続して開催していくことが発表された。オーケストラと劇場がタッグを組み、市民がよりオーケストラに親しむことができるような「もう一つの定期演奏会」としての位置づけを目指すという。

 2025年には創立80周年を迎える群馬交響楽団。まずは飯森体制2年目のシーズンを楽しみに待ちたい。

写真提供:群馬交響楽団

群馬交響楽団
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