榎本玲奈(ピアノ)

曲に籠めた想いは“祈り”と呼べるもの

 何に強いエナジーを感じ、どう光を当てて包容したいのか。そのプレゼンテーションの仕方がクリアで、人々の共感を引き寄せることのできる音楽家は多いわけではない。アルバム『In a Landscape〜ある風景のなかで』でデビューを飾った榎本玲奈は、それができるピアニストの一人に違いない。フィトキン、佐藤聰明、ケージ、トゥールといったコンテンポラリーの作曲家たちのミニマル色の強い作品から、静/動のコントラストに富んだ選曲をし、鮮烈な、あるいは瞑想的な世界観を明快に提示した。「これらの曲たちに籠めた想いは一貫してある種の“祈り”と呼べるもの」と彼女は述べている。12月には赤坂ベヒシュタイン・センターで、1月には姫路キャスパホールでコンサートを行う。音楽や芸術が「社会からかけ離れた場所にならないようにしたい」と望む彼女は、震災チャリティー活動にも積極的。「ゆくゆくはジャンルレスなART、総合的な舞台作りをしたい」と語る榎本のステージに注目だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)

12/12(金)19:00 赤坂ベヒシュタインセンター 
問:03-6441-3636
2015.1/12(月・祝)14:00 姫路キャスパホール 
問:及川音楽事務所03-3981-6052
榎本玲奈オフィシャル・ウェブサイト
http://raynapiano.jimdo.com
 

 

 
【CD】『In a Landscape〜ある風景のなかで』
Beltà Record
YZBL-1040
¥2381+税