アルゲリッチも絶賛のアンサンブル
「室内楽こそが、音楽における唯一かつ真正なる形式で、最も正当な個性の表現である」。近代フランスの巨匠ガブリエル・フォーレは、かつてこう語った。その偉大な先人の名を冠し、世界的にも珍しい常設のピアノ四重奏団として、緻密で繊細、時に大胆なプレイで世界中の聴衆を感嘆させている「フォーレ四重奏団」。そんな精鋭集団が冬の日本へと降り立ち、白熱のドイツ・ロマン派プログラムを聴かせる。
ドイツ・カールスルーエ音楽大学の卒業生により、1995年に結成。アルバン・ベルク四重奏団に師事し、その室内楽演奏の極意を受け継いだ彼らは、2年後に全ドイツ音楽院コンクールで優勝。これを皮切りに、次々と受賞を重ねて、瞬く間に楽壇全体から注目される実力派アンサンブルへと成長した。彼らのレパートリーはクラシックにとどまらない。たとえば、ビーチ・ボーイズなど古今のヒット曲を取り上げた『ポップ・ソングス』は大反響を呼び、“ドイツのグラミー賞”とも言われるエコー賞を受賞している。
来日ステージでは、ブラームスの佳品・第1番に、マーラーによる未完の作品やR.シュトラウスと、実演にはなかなか出会えない、知られざるピアノ四重奏曲の名品を組み合わせた。常設なれば故の、微塵の迷いすら見せぬ、鉄壁のアンサンブル。そして、磨き上げられた作品への洞察力によって、これらの作品が湛えた魅力の全てを掬い取ってゆく。「誰でも、もう一度聴きたくなる」とマルタ・アルゲリッチが評した、彼らの演奏の魔力。魅入られてしまうのも、悪くない。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)
12/12(金)19:00 トッパンホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
http://www.pacific-concert.co.jp
他公演
12/11(木)宗次ホール 問:052-265-1718
12/14(日)横浜市港南区民文化センターひまわりの郷 問:045-848-0800
12/15(月)東京文化会館(小) 問:日本モーツァルト協会03-5467-0626