静岡でしか観られない新作登場!
朝起きたら虫になっていた、というあまりにも有名なフランツ・カフカの『変身』は、けっこう舞台化されている。ただ鍵になるのが主人公ザムザの見せ方だ。特殊メイクや虫の着ぐるみ着用などで登場したら、お笑いになってしまう。そこで演者は身体ひとつで、いかに観客の脳内に虫を現出させるかが腕の見せどころとなるわけだ。難しいが、だからこそ多くのアーティストが取り組んできたし、優れた作品も多い。
そこで小野寺修二である。
ときにテキストも使うが、マイムをベースにした独特の動きで、これまでにも数々の文学作品に挑んできた。しかも推理小説から長大なロシア文学作品まで。これだけ幅広い小説を作品化しているアーティストは、演劇でもダンスでもちょっと類を見ない。いや演劇とダンス両面の強さを活かせる小野寺でなければ不可能なことかもしれない。小野寺によってこの作品がどんな風に「変身」するのか、実に楽しみである。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)
12/6(土)〜12/21(日) 静岡芸術劇場
問:SPACチケットセンター054-202‐3399
http://www.spac.or.jp