日本のクラシックギター界を牽引する鈴木大介が、自身初となる8弦ギターで紡ぐ19世紀ロマン派ギタリスト&作曲家たちの芳醇な世界。後半に収録されている、フランス東部生まれのコストとハンガリー(現スロバキアの首都ブラチスラヴァ)出身のメルツが書いた多弦ギターのためのオリジナル曲が圧巻だが、彼らが憧れたメンデルスゾーン作品の鈴木編曲版も聴きどころ。加えて7弦ギターを普及させたロシア・ギター界の祖シクラの弟子にあたるアレクサンドロフの手によるシューベルトの有名曲2編、ショパンのマズルカ(ポーランドの舞曲)集に同郷のボブロヴィッツが挑んだ8編も必聴。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2023年10月号より)
【information】
SACD『浪漫の薫り/鈴木大介』
シューベルト(アレクサンドロフ編):子守唄/ショパン(ボブロヴィッツ編):マズルカ第1番〜第8番/メンデルスゾーン(鈴木大介編):ヴェネツィアの舟唄第1番、同第2番/コスト:ジュラの想い出(アンダンテとポロネーズ)/メルツ:ハンガリー風幻想曲 他
鈴木大介(ギター)
アールアンフィニ
MECO-1078 ¥3850(税込)