NHK交響楽団 梅田俊明(指揮) 戸澤采紀(ヴァイオリン)

日本音コン最年少覇者が勝負曲で初共演に挑む

 大正年間に公共ホールの先駆けとして誕生した埼玉会館。1966年に前川國男による設計でホールが建て直され、彩の国さいたま芸術劇場がオープンするまでは、埼玉県の文化芸術の中心を担っていた。もちろん、埼玉在住のクラシック・ファンにとっても特別な場所だ。浦和レッズが埼玉スタジアムでほとんどの試合をするようになってからも、サポーターにとって駒場スタジアムが聖地であり続けているように。

 その埼玉会館に、今年もNHK交響楽団がやって来る。近年はクオクマン、井上道義、下野竜也、川瀬賢太郎、尾高忠明、リープライヒが指揮台に立ったが、今年は梅田俊明が登場。練達した職人技が光る、いぶし銀の指揮者だ。コンサートのメインとなるチャイコフスキーの交響曲第5番では、その安定した運びから劇的な感興を呼び起こしてくれるだろう。

 N響の埼玉公演は、協奏曲のソリストが豪華なことでも知られている。今年はヴァイオリニストの戸澤采紀。日本音楽コンクールで史上最年少優勝に輝いた期待の若手だ。N響との初共演では、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を奏でる。彼女がさまざまなコンクールの本選で取り上げてきた、いわゆる勝負曲だ。輪郭のはっきりしたフレージング、そして抒情性豊かな演奏をしてきた戸澤。ドイツで研鑽を積んだことで、さらに深みの増したシベリウスを聴かせてくれるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年9月号より)

2023.11/5(日)16:00 埼玉会館
問:SAFチケットセンター0570-064-939 
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