新国立劇場 《修道女アンジェリカ/子どもと魔法》新制作

母と子の愛がもたらす奇蹟とファンタジックなドラマ

上段左より:粟國 淳、沼尻竜典、キアーラ・イゾットン
下段左より:マリアンナ・ピッツォラート、クロエ・ブリオ、齊藤純子

 オペラはなにより愛を歌う芸術である。

 新国立劇場の新シーズン開幕を飾るのも、人間の愛の諸相だ。しかも、恋愛のすったもんだや悲喜劇ではなく、切っても切れない母と子の愛をみつめる2様の傑作のカップリングである。

 プッチーニの晩年作《修道女アンジェリカ》は、息子を思う未婚の母の愛情が、神秘的な奇蹟を起こす宗教的な劇。ラヴェルの《子どもと魔法》は人間の世界を超えるメルヘン。乱暴に接した周囲の物や生き物たちから仕返しされるいたずらっ子が、「ママン」の一言を呪文のように唱えて、やさしさに包まれるファンタジーである。

 物語世界のコントラストだけでなく、イタリアとフランスが誇る屈指の名人どうし、プッチーニの雄弁で壮麗なドラマ書法とラヴェル一流の優美な洒脱さも好対照だ。

 大野和士が芸術監督就任当初からレパートリーの新しい柱としてユニークに打ち出してきた“ダブルビル”の第3弾。二本立ての楽しみが、長時間でひとつの物語を生きるのとは違う、視野の広がりと豊かな興味を掻き立てる。あわせて、大野がロシアものに続けて力を入れるフランス路線も加味されている。

 いずれも新制作で、演出の粟國淳、指揮の沼尻竜典が再びコンビを組む。キアーラ・イゾットン、マリアンナ・ピッツォラート、クロエ・ブリオ、齊藤純子ら内外の歌手が贅沢に結集。大野芸術監督のいう「人間の愛の中でもっとも純粋な“母と子の愛”」は、いかに奇蹟と魔法を揮うのか。めくるめく舞台はもうすぐ。
文:青澤隆明
(ぶらあぼ2023年9月号より)

※『修道女アンジェリカ』公爵夫人役に出演を予定しておりましたマリアンナ・ピッツォラートは、本人の都合により出演できなくなりました。代わりまして、齊藤純子が出演いたします。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(9/12主催者発表)

https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_026320.html

2023.10/1(日)14:00、10/4(水)19:00、10/7(土)14:00、10/9(月・祝)14:00
新国立劇場 オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/