奥深い声による、官能の世界
秋深き宵、奥深い滋味を湛えた歌声に身を浸したい。旋律のみならず、詩にも焦点を当て、その魅力を掘り下げてきたトッパンホールの人気シリーズ《歌曲(リート)の森》。今回はコントラルトの第一人者、ナタリー・シュトゥッツマンが再び登場、佳品に込められた官能の世界を表現し尽くす。器楽や指揮を学んだ経験もあり、サイモン・ラトルら名匠の信頼も厚く、近年は活動の先鋭さにますます磨きをかけているシュトゥッツマン。
今回は、2夜にわたってステージへ。第1夜はシューベルト「冬の旅」を披露するが、残念ながら完売の人気。そして、第2夜は『フランス歌曲の夜』と題し、フォーレ〈夢のあとに〉やデュパルク〈恍惚〉、アーン〈クロリスに〉、ドビュッシー〈海は大聖堂より美しい〉など名旋律を満載して。共演のインゲル・ゼーデルグレン(ピアノ)とは数々の録音を発表するなど、気心の知れた間柄だけに、フランス歌曲が持つ独特の空気感を余さず掬い取ってくれるはず。名演を期待して、間違いなさそうだ。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)
歌曲(リート)の森〜詩と音楽 Gedichte und Musik〜(第14篇・第15篇)
第1夜 『冬の旅』 11/24(月・休)17:00 (完売)
第2夜 『フランス歌曲の夜』 11/26(水)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com