【CD】クープラン一族のクラヴサン音楽集/高田泰治

 バッハをはじめドイツ・バロック音楽の演奏に定評のある鍵盤楽器(フォルテピアノ、チェンバロ)奏者、高田泰治の最新盤は、フランスの作曲家クープランのクラヴサン音楽集。有名なバッハ・ファミリーならぬクープラン一族というコンセプトが面白い。いわゆる大クープラン、フランソワを中心に3世代にわたる作品が収録されている。舞曲系組曲から各曲が標題を持った曲集へ、という同国のクラヴサン音楽の様式の変遷が見て取れるのも興味深い。高田の演奏は各曲の性格を鮮やかに描く一方で、音価の指示がないが故に想像力と即興の能力が問われる前奏曲でも確信に満ちた解釈を感じさせる。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2023年8月号より)

【information】
CD『クープラン一族のクラヴサン音楽集/高田泰治』

アルマン=ルイ・クープラン:「クラヴサン曲集」より〈道化またはアダム〉〈悲しむ人〉〈おしゃべり女たち〉〈シェロン〉/フランソワ・クープラン:クラヴサン曲集第1巻 第4オルドル、同第3巻 第13オルドル/ルイ・クープラン:組曲 イ短調

高田泰治(クラヴサン)

ナミ・レコード
WWCC-7984 ¥2750(税込)