ショパン音楽院留学時にシマノフスキ作品に魅せられて以来、長くその紹介に努めてきたピアニスト・木田左和子。前東京藝術大学長のヴァイオリニスト・澤和樹。日本シマノフスキ協会理事でもある二人の名匠が、初期から晩年までの作品を渾身の演奏で収めた。ドイツ的な構成感の残るソナタから、神秘的な作風の「神話」への変化の巧みさ。近年聴く機会の多い「ノクターンとタランテラ」は、快速で弾き飛ばされがちな妖しい和声をしっかり聴かせてくれて、目から鱗が落ちる思い。これら難曲を、澤は丁寧かつ覇気のある演奏で構築。木田の共感あふれるピアノの美しさも特筆したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2023年8月号より)
【information】
SACD『カロル・シマノフスキ作品集―「神話」への誘い/澤和樹&木田左和子』
シマノフスキ:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調、「神話」3つの詩、ノクターンとタランテラ、「ハルナシェ」より〈農民の踊り〉(P.コハンスキ編)、4つの練習曲、前奏曲 嬰ハ短調
澤和樹(ヴァイオリン)
木田左和子(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00817 ¥3850(税込)