18世紀後半フランスの作曲家サン=ジョルジュのヴァイオリン協奏曲集がリリースされた。第1集、第2集とそれぞれ異なる演奏家によって録音されてきたが、第3集では期待の若手、毛利文香が登場。バイオグラフィーに不詳な点が多い作曲家であるが、当盤収録の作品2は最初のふたつの協奏曲であり、同作でのデビューで彼はヴァイオリンのヴィルトゥオーゾとして知られるようになった。奇しくも当盤は毛利にとってのデビュー盤となる。いずれの音域でも凛とした音色を駆使した彼女の演奏は、未開の作品の魅力を十分に引き出しており、自作のカデンツァも作品の様式を的確に反映している。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2023年7月号より)
【information】
CD『サン=ジョルジュ:ヴァイオリン協奏曲集 /毛利文香』
サン=ジョルジュ:ヴァイオリン協奏曲 ト長調 op.2-1、同ニ長調 op.2-2、同イ長調 op.7-1、同変ロ長調 op.7-2
毛利文香(ヴァイオリン)
ミヒャエル・ハラース(指揮)
チェコ室内管弦楽団パルドビツェ
NAXOS/ナクソス・ジャパン
NYCX-10403 ¥2200(税込)