福田進一(ギター) & 河野智美(ギター)

ギター界の“いま”が詰まった、ホール長寿シリーズが今夏再び

 クラシック・ギターに最もふさわしい音響を持つHakuju Hall。今年20周年を迎え、毎年夏に開催されている「Hakuju ギター・フェスタ」は第17回となる。今回のテーマは「原点回帰 3」。一昨年から続く「原点回帰」シリーズの第3弾となる。その狙いをプロデューサーのひとりである福田進一はこう語る。

 「そもそもこのフェスタは、クラシカル・ギターの新しいレパートリーを披露すること、そして新しい才能の登竜門としての役割を果たすことが大きな狙いだったわけですが、実は限られたフェスタの時間枠の中で両方を追い求めるのはなかなか難しかったのです。そこで、荘村清志さんと相談しつつ、今年も原点に戻って、これまでに登場していない才能を紹介しながら、それぞれが新鮮なレパートリーに挑むという、言ってみれば『柳の下のドジョウ』作戦でいこうとなりました」

 その言葉通り、今年も新鮮なギタリストが並ぶ。福岡在住で地元をベースに活躍を続ける上野芽実、フラメンコ界に新風を吹き込んでいる徳永兄弟、すでに日本だけでなくアメリカなどでも活躍中の河野智美、「旬のギタリストを聴く」には2018年アルハンブラ国際ギターコンクール第2位などの獲得で話題の岡本拓也が登場する。

 「昨年は朴葵姫さんと猪居亜美さんに出演してもらったのですが、今年も女性ふたりに参加していただきます。上野さんは九州での活動が中心なので、あまり東京では知られていない方ですが、実力派。そして河野さんはすでに北米でもツアーをし、ヴァイオリンの礒絵里子さんとのデュオでも活動している中堅ですし、徳永兄弟はフラメンコで、しかも兄弟デュオという興味深い存在。岡本君の演奏にも期待です」

 8月18日から20日までの3日間に、ギュッと“いま”のギター界の魅力を詰め込んだプログラムだ。このフェスタに初登場となる河野にも意気込みを訊いた。

 「福田先生とは大きな作品に挑戦する時にアドバイスをお願いすることがこれまでのお付き合いの中心でしたので、このフェスタに呼んでいただけるということに、まず驚きました。その上、自分のソロだけでなく、荘村さん、福田さんの両プロデューサーに加え、上野さんと私の4人でアンサンブルに取り組むということもあり、今からとても楽しみにしています。私のソロのプログラムは最近取り組んでいるJ.S.バッハの作品を中心に、日本ではあまり取り上げられないアメリカの作曲家ハンドの『トリロジー』などを演奏します」

 このフェスタでは委嘱作品が演奏されるのも特徴だが、今年は荘村、福田が押尾コータローによる新作を披露するほか、河野、上野も加わってラヴェル(福田進一編)の「亡き王女のためのパヴァーヌ」、グリーグ(J.スパークス編)の「ペール・ギュント第1組曲」などをフィナーレで演奏する。

 「押尾さんには昨年出演していただきましたが、いわゆるクラシカル・ギターとは違うスタイルで演奏している彼が、どんなテイストの作品を書いてくれるのか、とても楽しみです」(福田)

 その福田は今年デビュー40周年を迎えるが、このフェスタの中ではオアナ、ポンセ、アルベニス、アセンシオという非常に意外性のあるプログラムを組んだ。一方、荘村はグラナドスの「詩的なワルツ集」や「スペイン舞曲集」などを演奏する。プロデューサーふたりもそれぞれの原点、そして未来を見据えたプログラミングでソロを披露するのも、多くのギター・ファンにとって注目だろう。また“熱い”ギターの夏がやってくる。
取材・文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年6月号より)

第17回 Hakuju ギター・フェスタ 2023 原点回帰 3
【第一夜】2023.8/18(金)19:00  
【旬のギタリストを聴く】8/19(土)16:00
【第二夜】8/19(土)18:30 
【フィナーレ】8/20(日)15:00
Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
https://hakujuhall.jp
※出演者、プログラムの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。