東京藝術大学卒業後、ヨーロッパで研鑽を積んだピアニストの新井眞澄。現在ドイツを拠点に、ソロはもとより室内楽や教育活動にも力を入れる彼女が初のCDをリリースした。収録曲はかねてから力を入れているシューマンの「クライスレリアーナ」に「アラベスク」、さらにモーツァルトのアダージョ(K.540)とロンド(K.485)。新井の音色は非常に清潔感がありながら多彩なニュアンスに富んでおり、特にタイトルにもなっている「クライスレリアーナ」ではその変容を存分に楽しむことができる。またモーツァルトではその音色にさらに輝きが加わり、優美で格調高い世界が広がっている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年5月号より)
【information】
CD『Kreisleriana/新井眞澄』
モーツァルト:アダージョ ロ短調 K.540、ロンド ニ長調 K.485/シューマン:クライスレリアーナ op.16、アラベスク op.18
新井眞澄(ピアノ)
sonorité
SNRT2302 ¥3080(税込)