【CD】ショパン ―旅路―/山中惇史

 日本を代表するコンポーザー・ピアニストとして強い存在感を示している山中惇史の待望のソロ・アルバムがリリースされた。様々な時代のショパンの楽曲を並べ、それらの間に自作曲を置くことで、物語を読んでいくような感覚を味わうことができる。山中の音色の美しさと技術が存分に発揮されており、特に「舟歌」や「幻想ポロネーズ」では多彩なニュアンスを使い分け、楽曲のもつ表情を鮮やかに聴き手へと届けてくれる。また、愛らしい初期のポロネーズでみせるようなチャーミングな音の扱いも魅力的である。ピアニストとしての山中の様々な面に出会える一枚だ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年4月号より)

【information】
CD『ショパン ―旅路―/山中惇史』

ショパン:ワルツ イ短調 遺作、バラード第1番 ト短調、春、ノクターン第2番 変ホ長調(ヴァリアント付)、舟歌 嬰ヘ長調、ポロネーズ第7番「幻想」、ワルツ第2番 変イ長調「華麗なる円舞曲」/山中惇史:翡翠の時、Inter Ⅰ、Inter Ⅱ、Inter Ⅲ、憧れ 他

山中惇史(ピアノ)

日本コロムビア
COCQ-85602 ¥3300(税込)