バッティストーニが導く新宿文化センター合唱団3年ぶりのステージ
1987年ヴェローナ生まれのアンドレア・バッティストーニが首席指揮者を務める東京フィルハーモニー交響楽団の本拠は東京都新宿区。同区出資の公益財団法人新宿未来創造財団が管理運営する公共ホール「新宿文化センター」とは長年の協力関係にある。
開館3年後の1982年に発足した市民参加の新宿文化センター合唱団は、ベートーヴェンの「第九」をはじめとする様々な作品でオーケストラとの共演を重ね、2017年からバッティストーニとの関係を急速に深めてきた。これまでにヴェルディ「レクイエム」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、マーラー「交響曲第8番『千人の交響曲』」(開館40周年記念)、ウォルトン「オラトリオ《ベルシャザールの饗宴》」を取り上げ、児童合唱の入る作品ではバッティストーニが区内の小学校へ指導に出かけた。母国イタリアにとどまらずドイツ、イギリス…と幅広い文化圏の音楽に合唱団ともども挑戦するなか、3月18日の共演にはフランスの作曲家ベルリオーズの「レクイエム」を選んだ。
すでにバッティストーニは「幻想交響曲」を東京フィルの2020年1月定期で指揮、日本コロムビアからCDを発売したほか、23年3月定期にも序曲「ローマの謝肉祭」を入れるなど、ベルリオーズを折に触れ手がけている。「ベートーヴェン後の時代の作曲家で唯一、自分の道を歩み続ける勇気を持った人物。革新を続け、もっと熱狂的で、もっと新しい音楽を求めたのです」(ぶらあぼ2019年12月号より)と語る作曲家像は、巨大編成の「レクイエム」でも存分に発揮されるだろう。独唱に輝かしい美声のテノール、宮里直樹が華を添える。
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2023年3月号より)
2023.3/18(土)15:00 新宿文化センター
問:新宿文化センター03-3350-1141
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/bunka-center/