指揮界の重鎮・秋山和慶が、ミュージックアドバイザーを務める日本センチュリー響を振った、十八番作品のライブ録音。マエストロ80歳時における、円熟味が滲み出たブラームスの1番だ。堂々たる冒頭楽章から、瑞々しい緩徐楽章を経て、的確な起伏の果てに格調をもって高揚を遂げる終楽章に至る流れは、正攻法の巨匠の面目躍如。堅牢にして丁寧な造型、端正かつ重厚でバランスの良い響きなど、全体に申し分ない出来栄えだ。オーケストラも第2楽章の潤いのある弦楽器陣をはじめ、終始充実したパフォーマンスを展開。アンコールのシューベルトも実に味わい深い。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2023年1月号より)
【information】
CD『ブラームス:交響曲第1番 他/秋山和慶&日本センチュリー響』
ブラームス:交響曲第1番
シューベルト:劇音楽「ロザムンデ」より〈間奏曲第3番〉
秋山和慶(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2021年7月、びわ湖ホール(ライブ)
マイスター・ミュージック
MM-4512 ¥3300(税込)