指揮と独奏で堪能するホリガーの世界
名オーボエ奏者としてだけでなく、今や指揮者、作曲家としての顔もすっかり定着したハインツ・ホリガー。水戸室内管との初共演から2年、10月の同団定期演奏会に再び登場する。聴きものはホリガー自身の独奏によるルトスワフスキ「オーボエ、ハープと室内管弦楽のための二重協奏曲」だ。ホリガー夫妻(妻ウルズラはハープ奏者)のために書かれたこの曲は前回の来日時に演奏されるはずだったが、ウルズラの病気のために変更となり、その後彼女は帰らぬ人となってしまった。今回はホリガーの信任も厚いシャンタル・マテューが参加する。またドビュッシー最晩年のバレエ音楽「おもちゃ箱」にも注目だ。ここでは原作に添えられたト書きを語ることで、音楽の流れにあわせてストーリーも楽しめるという趣向だ。語りには落語界の鬼才・柳家花緑が登場。魅惑の話術も堪能したい。冒頭には古典派・ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」を、水戸室内管の名手たちが爽やかに聴かせてくれるはずだ。芸術の秋の幕開けを三曲三様の名人芸が飾ることだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)
第91回 定期演奏会
10/4(土)18:30、10/5(日)14:00 水戸芸術館コンサートホールATM
問 水戸芸術館チケット予約センター 029-231-8000
http://arttowermito.or.jp